クルートレーニングって何をするの?

CAPITANI CORAGGIOSI

「ゆうかんな船長」Schoonerの 航海が舞台のイギリス児童文学から

Amiではゲストがいない平日などにクルーのトレーニングをします。クルートレーニングって何するの?という方に、このラディヤード・キプリング原作の児童文学の一節をご紹介します。キプリング(1865~1936)はジャングルブックで日本でも知られているノーベル賞作家です。
この物語は、大金持ちの一人息子のわがままな少年ハービーが、漁船(スクーナー)の上で、短いが厳しい生活を送った結果、逞しい人間に生まれ変わるお話。体験すること、学ぶことにより、少年の心身が鍛えられていく。それは人間生活の常道であるということを子供達に教えています。

第6章(抜粋)
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「そうだ、こんなときこそ、新米の漁師に、船のことをみっちり教えてやろう。ハービー来な。」
ジャックの右手にはつなのきれはしがにぎられていた。できが悪いとひっぱたくつもりらしい。ハービーはびくびくしながらついて行った。
70トンのスクーナー(we'llhere号)には、それほどの装備はない。だからジャックの教え方は念入りだった。一時間のほどの間に、ハービーはふらふらになった。 たとえばこうだ。
ほげたの先を引きおこすつなをおぼえさせるときは、首ったまをつかんで1分間そっちをながめさせた。へさきととものちがいをのみこませるために、ハービーの鼻がすりむけるほどすりつけた。一本一本のつながどんな役にたっているかを教えるのに、かたいむすびめがガンとおしりにとんできた。
かんぱんの上には、さまざまな道具がいっぱいにつみこんである。人ひとりがやっと通れるだけの隙間しかない。そのうえ、もっと軍かんに乗っていたというトム・ブラッドがうるさく口を出した。ハービーはまごまごし、そのたびにつなのきれっぱしでひっぱたかれた。しまいにはとうとうのっぽのジャックがおこりだした。
「うるさいぞ、トム。おれはこいつに、どのつなも大事だということを教えているんだ。」
ジャックはハービーの方へ向きなおった。「いいか、やせっぽち。こいつをたたきこまれたら、ボストンからキューバまでたってひとりでほをあやつれるんだからな。」
ハービーはもうふらふらだった。だがジャックは手かげんなどしなかった。
「よし、もうひとまわりしよう。おれがつなの名をいうから、おめえはいい終わらないうちに、飛びつくんだぞ。」
ハービーは、よろよろといわれたつなにさわった。ちょっとでもまちがえると、ジャックのむちがびしっととんできた。だまって見ていたトム・ブラットの目がとがった。
「おめえが船長なら、すきなように歩きな。だがな、ここではかけ足でやるんだ。え、わかったかい、わかいの。」ハービーはそれまでにも、いいかげんがまんしていた。だがトムの声で、むらむらといかりがこみ上げてきた。もっと親切に教えようがあるはずだ。
けれども、あたりを見まわしたハービーは誰も笑っていないのを見て、はっとなった。そうだ、これは漁師になるための修行のひとつなのだ。もともとバービーはずばぬけてかしこい少年だった。甘やかされて育っただけだ。わがままで、かってなせいかくにゆがんではいたものの、すばしこいし、ものおぼえも早かった。かれはとっさに、すべてを理解した。いじめようとしているのではない。ジャックもトムもじぶんをきたえようとしている。そしてこれが海の男たちのやり方なのだ。「よし、ぼくはやるぞ。」
ジャックは六つばかりのつなの名まえを、つづけざまにどなった。そのたびに、バービーはかんぱんの上をはねとんだ。「よし、よくやった。晩飯のあとで、おれの作ったスクーナーのもけいを見せてやろう。そいつで勉強すればもっとよくわかるぜ。」

物語はつづきます。

Schoonerが題材になった物語はアーサー・ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」の中の「ヤマネコ号」が有名ですが、この本もひと味違う良書です。機会がありましたらぜひお手に取ってください。
SchoonerAmiの溜船長や年長クルーは、このWe’llhere号の船長やクルーのように新人クルーに対してこんなに厳しくはありません。とても優しいですからご安心ください。そのかわりわからないこと、わからない時はいつでも質問をしてください!

(文責F)