10.航海と時計の話

人が船を使って地球上の何処へでも旅するようになっ頃の16世紀後半。人々は星や太陽に依って自分達の位置を探った。コロンブスやマゼランも「緯度線」すなわち”横位置”は太陽の高度や北極星の位置により比較的易しく割り出した。だが「経度線」と言う”縦位置”は容易ではなかった。主に航速から経線を推測した。

しかし船足は潮の流れや風の強弱によって常に変化する。彼らの航海は難渋を極めた。正確な時計があれば経線の測量は正確になし得る。当時の振り子式の時計は揺れる船の上では使えない!

18世紀、クロノメーターの出現によってその時計は完成した。キャプテンクックとエンデバー号は正確なクロノメーター式時計によって南太平洋上の島々を発見していった。ビーグル号の航海によって進化論や種の起源を証明したダーウインのこの船には22個のクロノメーター式時計が積まれていた。

航海と時計の発達は密接に関係していた。今、私達の腕にある全く狂いのない時計はこうした物語を語っているようだ。

航海と時計の少し長いお話でした。

参考
セイコーミュージアム:時計職人ジョンハリソン
児童書:時計職人ジョン・ハリソンー船を変えたひとりの男の物語
函南町立図書館:蔵書情報