11.Capitanの話 夏の長い航海

夏の長い航海は台風の影響は避けられない。
計画の段階では何処でどの規模の嵐に遭うのか読み取ることは出来ない。それでも調整日を設け、無理なく日程の移りをイメージする。
それが無駄な行程に思われることもある。一旦、台風情報が発表されるとその進路に神経を尖らせて避難先を選択し、安全な港を目指す。
この時私は台風が一匹の生き物の様に感じる。どのコースで忍び寄り、どの方向から攻めればこの船に打撃を与えることが出来るのか?こう考えて忍び寄る凶悪な獣に見えてくる。逃げ込む港はどの方向から風が吹き込むか、波やウネリは?高潮と岩壁との関係他の避難船はどう動く?
今回の様に土地の古老の助言で助かることもある。無事にやり過ごせた時の安堵感や達成感は他では感じることは出来ない。この後の航海はより慎重になりたい。折角助かった航海だから。

全ての人に感謝します。
又次の航海の為に。

by Captain 溜 2023/08/15 那智勝浦港にて

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夏の思い出

”光っちゃんは子どもの頃から船が好きみたいで かまぼこ板を利用して釘で木綿糸を張り作ってましたよ。 俺は船には興味が無かったので感心して観てるだけでしたけどね。”                          絵と文 by Toshikazuchan